軌跡と領域マスターへの道

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しゅがー
高校受験の失敗から高校時代は大学受験をガチる。特に好きだった数学を極めようとするも、最初はうまく成績が伸びなかった。そんなとき、超数学が出来る先生に出会い飛躍的に数学の成績が伸び、国立大学に合格。ネットの友達に数学に教える過程で、「教える」楽しさに気づき、本サイトを作る。詳しいプロフィールは こちら

 

こんにちは!しゅがーです。

 

軌跡と領域の分野は思考力を問う問題が非常に多いです。

 

今回は思考力を鍛えられる問題を5題厳選して持ってきました。必要な知識自体は以下の2記事にまとめてあります。

 

それではやっていきましょう!

 

素朴な軌跡と領域の問題

 

まずは”素朴”な軌跡と領域の問題です。

”素朴な”と、あえて書いたのは、”素朴じゃない”軌跡と領域の問題もあるからです。この記事の後半で紹介しますが、そういった問題はあらかじめ問題の”構造”を知っておかないとかなり難しいです。後ほど詳しく説明します。

 

まずは軌跡と領域を求めさせるだけの素朴な構造の問題からやっていきます。

 

それぞれの問題で、段階的なヒントを作りました。進めば進むほど答えに近づくヒントです。思考を鍛えるためにうまく活用してください。

 

問題1

 

問題1

\(s,t\)が\(0≦s≦1,0≦t≦1\) の範囲を動くとする。

このとき、

$$x=s+t,y=s^2$$

により定義される\(xy\)平面上の点\( (x,y) \)が動く範囲を求め図示せよ。

(札幌医科大)

 

 

 

 

ヒント1:変数を認識する

まず最初に軌跡と領域の原則です。この問題の変数は何ですか?→つまり消去したい文字はなんですか?

 

 

 

 

ヒント1の答え→\(s,t\)です。

ヒント2:どう消去するか

次にこの問題は2変数なので非常に扱いにくいです。そこで、少なくとも1文字は変数を減らしたいです。問題に与えられた関係式を眺めると、\(s\)と\(t\)どっちを消去できますか?

 

 

 

 

ヒント2の答え→\(s\)が消去できます。\(s=x-t\)として、\(y=s^2\)の式に代入することで、\(y=(x-t)^2\)とできます。

ヒント3:消去した文字の条件を考える

文字消去の大原則です。消去する際、範囲が新たに発生しないかを考えます。今回、\(0≦s≦1\)の範囲が与えられています。この範囲のもと、\(s=x-t\)として\(y=s^2\)に代入したので、新たに\(x,y\)に範囲が発生しないですか?

 

 

 

 

\(0≦s≦1\)から、\(s=x-t\)と\(y=s^2\)から、\(t≦x≦t+1\)と\(0≦y≦1\)が得られます。

ヒント4:残った文字を消去する

これまでのをまとめると、\(s\)を消去すると、

\(y=(x-t)^2(t≦x≦t+1,0≦y≦1)\)となります。

次に\(t\)をどう消去しますか?

 

 

 

 

解答です。

〜以下にこの問題のポイントをまとめます〜

 

この問題では、 前半:与えられた関係式を適切に変形して処理し、 後半:図形的に考察して図示して範囲を求める

 

この2つがポイントとなります。

 

まず前半。軌跡と領域の問題の解き方は

でも述べている通り、条件や条件式を使って、本来定数であるはずの文字を変数として扱って、消去するのが軌跡と領域の解き方です。

 

次に後半。

上記の記事でも述べましたが、図形分野では”定性と定量”の視点が必要です。

今回の問題では、前半の解答部分は式からいかに変数を減らすかを考えて式変形をする”定量”的な視点を使っていますが、後半の部分では具体的に図を視覚的に動かして求めるという”定性”的な視点を使っています。

 

特に、最初は\(0≦t≦1\)の範囲で変数\(t\)を固定して、そこから\(0≦t≦1\)の範囲で図形的に動かして通過領域を求めるというが定性的な思考が必要です。

 

 

問題2

 

問題2

実数\(a\)に対して、曲線\(C_a\)を方程式\((x-a)^2+ay^2=a^2+3a+1\)

によって定める。

(1)\(C_a\)は\(a\)の値と無関係に4つの定点を通ることを示し、その4定点の座標を求めよ。

(2)\(a\)が正の実数全体を動くとき、\(C_a\)が通過する範囲を図示せよ。

(筑波大)

 

 

 

(1)から。

ヒント1:どんな定数に対しても通る点

「どんなaに対しても通る点」

このキーワードが来たら、どう解きますか?

 

 

 

 

ヒント1の答え→aに関する恒等式と見ます。以下の記事で述べています。

次に(2)です。

ヒント2:問題文の言い換え

「\(a\)が正の実数全体を動くとき、\(C_a\)が通過する範囲」という言い回しを、どのように言い換えることができますか?

 

 

 

 

ヒント2の答え→与えられた方程式について、\(x,y\)を定数とみて\(a\)を変数とみると(つまり\(a\)の方程式とみる)、この方程式が正の実数解をもつと言い換えることができます。この正の実数解をもつという条件を求めることで、\(x,y\)の条件式を得られます→これが領域の答え。

答えです。

〜以下にこの問題のポイントをまとめます〜

今回の問題は1次方程式の解の配置に帰着します。

\(0≦a\)の範囲で1次方程式が解を持つという条件を求められればOKです。

問題3

問題3

\(xy\)平面上の2点\((t,t),(t-1,1-t)\)を通る直線を\(l_t\)とする.次の問に答えよ.

(1)\(l_t\)の方程式を求めよ.

(2)\(t\)が\(0≦t≦1\)を動くとき,\(l_t\)の通り得る範囲を図示せよ.

(京都産業大)

 

この問題は二次関数の知識を使います。二次関数に少しでも不安がある人は以下の記事を参考に勉強するのをおすすめします。

 

今回の問題は方針自体は問題2と全く同じなのでヒントは省きます。

解答です。

〜以下にこの問題のポイントをまとめます〜

今回は問題2と違い、2次方程式の解の配置に帰着します。1次方程式よりも難易度は上がっています。

\(0≦t≦1\)の範囲で2次方程式が少なくとも1解を持つという条件を求められればOKです。

 

軌跡と領域の発展型問題

 

次に軌跡と領域の発展型を紹介します。

というのも、軌跡か領域を求めることで出来ることが増えるんです。

例えば領域を求めることが出来れば、その領域が閉じていれば面積を求めることが出来ますよね。

他にも、領域を求めることが出来れば、その領域が閉じていれば線形計画法で最大最小を求めることが出来ますよね。

つまり何がいいたいかと言うと、軌跡や領域を求められれば、他にも何か求められることができる発展性があるということです。

 

つまり、「領域を求めよ」という文言を使わずに「面積を求めよ」「最大・最小を求めよ」というゴールにさせて、「一見、軌跡と領域の問題に見えない」問題文を作ることが出来るんです。

問題文の事例を示すと

「〜〜(条件部分の文)〜〜。最大値を求めよ。」

こんな構造の問題です。

 

これを分解すると

「〜〜(条件部分の文)〜〜。←この条件から軌跡・領域を求めることが出来る

最大値を求めよ。」←線形計画法で求める

ということで、思考例を示すと、

「最大・最小の問題だ!」

→「線形計画法を使うのかな?」

→「問題文の条件から自分で軌跡・領域を求めるのか!」

→「求めた軌跡・領域の範囲について線形計画法で最大求めるのか!」

って感じです。

 

さあ、このタイプの問題の構造は示しました!具体的な問題でトレーニングしましょう!

問題4

 

問題4

実数\(x,y\)が\(x^2+y^2-2(x+y)-6=0\)をみたすとき、

(1)\(x+y\)のとりうる値の範囲を示せ。

(2)\(x+y-2xy\)の最大値を求めよ。

(日本女子大)

 

 

 

 

ヒント1:軌跡・領域に帰着させる

問題文にある条件式は対称式です。よってこのこの条件式は基本対称式\( (x+y,xy) \)に分解できます。よって、\( x+y=X,xy=Y\)とおくことで、\( (X,Y) \)の軌跡・領域を求めることが出来ます。

しかし!!! \( (x+y,xy) \)の軌跡・領域ときたら真っ先に考えるべきことは何ですか?

 

 

 

 

ヒント1の答えです↓

(x+y,xy)の領域ときたら

\((x,y)\)がある条件を満たしながら動くときの\( (x+y,xy) \)の軌跡・領域ときたら…

$$ x+y=X,xy=Y $$

とおく。さらに二次方程式の解と係数の関係から、

\(x,y\)は\(t\)の二次方程式

$$ t^2-Xt+Y=0 $$

の実数解である。よって\(t\)を変数と見たときの二次方程式の解と配置問題に帰着する

 

答えです。

 

 

問題5

 

問題5

\(\angle{A0B}=90^\circ\)の直角三角形OABにおいて、直線AB上に\(OP=1\)となる点Pを一点のみ取ることができる。このとき、

$$\displaystyle\frac{1}{OA}+\frac{1}{OB}$$

のとりうる値の範囲を求めよ。

 

最後の問題ということでノーヒントでいきましょう!かなり難しい問題です。

 

 

 

 

答えです。

 

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