なぜ一次独立なら係数比較できるのか解説します

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しゅがー
高校受験の失敗から高校時代は大学受験をガチる。特に好きだった数学を極めようとするも、最初はうまく成績が伸びなかった。そんなとき、超数学が出来る先生に出会い飛躍的に数学の成績が伸び、国立大学に合格。ネットの友達に数学に教える過程で、「教える」楽しさに気づき、本サイトを作る。詳しいプロフィールは こちら

 

こんにちは、しゅがーです。

 

 

ベクトルの問題の解説を読んでいると、「一次独立」という単語を見かけませんか?

 

 

係数比較する際は、この「一次独立」という単語を合言葉のように書け、と教わった人もいるかと思います。

 

「なぜ一次独立なら係数比較していいんだろう…?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか?

 

 

今回の記事を読めば、この疑問がすっきり晴れると思います。それでは、やっていきます。

 

一次独立の定義

 

まずは定義から確認するのが数学の原則です。

一次独立の定義は数式的な定義と、図形的な定義の二つがあります。(厳密には後者は定義ではないですが、ここでは定義とします)

 

定義:数式ver

 

さっそく結論から。

一次独立の定義:数式ver

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)のとき

\(s=0,t=0\)となるとき、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立である。

上記が定義です。

 

定義:図形ver

 

次に図形的な定義を示します。

一次独立の定義:図形ver

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が互いに平行でなく、\(\vec{0}\)でないとき、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立である。

 

実際にこの数式verと図形verの関係性を確認してみましょう。

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が互いに平行なときと、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)の少なくとも一つが\(\vec{0}\)のとき、

数式verの定義から実際に\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が一次独立でないことを確かめます。

 

数式verと図形verの関係性

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が互いに平行なとき

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が平行ならば、

\(\vec{a}=k\vec{b}\)と表せます。

 

これを数式verの定義の式

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)

に代入します。

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)

\(\vec{a}=k\vec{b}\)を代入して、

\(sk\vec{b}+t\vec{b}=0\)

\((sk+t)\vec{b}=0\)

 

よって、\(\displaystyle k=-\frac{t}{s}\)のとき(\(s\neq0\))

\(0\)でない任意の\(s,t\)に対して

\((sk+t)\vec{b}=0\)

は成立する。

すなわち、このとき、\(0\)でない任意の\(s,t\)に対して

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)

が成立する。

よって、定義

一次独立の定義:数式ver

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)のとき

\(s=0,t=0\)となるとき、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立である。

から、\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立でない。

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)の少なくとも一つが\(\vec{0}\)のとき

 

これも先ほどと同様に確認してみると、

例えば\(\vec{a}=\vec{0},\vec{b}=\vec{0}\)のとき

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)となるときを考えると、代入して、

\(s\vec{0}+t\vec{0}=0\)

\((s+t)\vec{0}=0\)

このとき、0でない任意の\(s,t\)に対して、

\((s+t)\vec{0}=0\)

すなわち

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)

は成り立ってしまうので、

定義

一次独立の定義:数式ver

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)のとき

\(s=0,t=0\)となるとき、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立である。

から、\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立でない。

 

 

 

一方が\(\vec{0}\)のときも確認してみましょう。

例えば\(\vec{a}=\vec{0}\)のとき

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)となるときを考えると、代入して、

\(s\vec{0}+t\vec{b}=0\)

 

このとき、少なくとも\(s\)については\(0\)でない数でも成立してしまうので

定義

一次独立の定義:数式ver

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)のとき

\(s=0,t=0\)となるとき、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立である。

から、\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立でない。

 

結論

以上より、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が互いに平行なときと、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)の少なくとも一つが\(\vec{0}\)のとき、

数式verの定義から実際に\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が一次独立でないことを確かめられました。

 

よって、

一次独立の定義:数式ver

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)のとき

\(s=0,t=0\)となるとき、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立である。

一次独立の定義:図形ver

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が互いに平行でなく、\(\vec{0}\)でないとき、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立である。

は同じ定義であることが確認できます。

 

一次独立なら係数比較ができる簡単な理由

 

次に係数比較です。係数比較するには一次独立である必要があります。詳しく説明していきます。

 

係数比較

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が一次独立のとき

\(\vec{c}=s\vec{a}+t\vec{b}\)、

\(\vec{c}=u\vec{a}+v\vec{b}\)

と表せるとき、

\(s=u,t=v\)

である。

 

さて、この係数比較は一次独立のときしかできません。

 

なぜか?

実はとても簡単で、数式verの定義を使います。

一次独立の定義:数式ver

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)のとき

\(s=0,t=0\)となるとき、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立である。

 

どうやって使うか結論から言うと、

\(\vec{c}=s\vec{a}+t\vec{b}\)

\(\vec{c}=u\vec{a}+v\vec{b}\)

の2式を代入して、

\(s\vec{a}+t\vec{b}=u\vec{a}+v\vec{b}\)

式変形して、

\((s-u)\vec{a}+(t-v)\vec{b}=0\)

となります。ここで、\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立であるので、定義

一次独立の定義:数式ver

\(s\vec{a}+t\vec{b}=0\)のとき

\(s=0,t=0\)となるとき、

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立である。

を使って、

\((s-u)\vec{a}+(t-v)\vec{b}=0\)のとき、\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)は一次独立であるから、

\(s-u=0,t-v=0\)

すなわち

\(s=u,t=v\)

となり、

係数比較

\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が一次独立のとき

\(\vec{c}=s\vec{a}+t\vec{b}\)、

\(\vec{c}=u\vec{a}+v\vec{b}\)

と表せるとき、

\(s=u,t=v\)

である。

にたどり着きます。

 

 

以上で一次独立と係数比較に関する話は終わりです!

 

定義からさかのぼって考えれば、凄く単純な話だとお分かりいただけたのではないでしょうか。

 

さらにベクトルの詳しい部分まで理解したい人は以下の記事を。

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