こんにちは、しゅがーです。
Σ計算は色々な解き方がありますよね。
ざっくりまとめると、
・公式(等差、等比、k、k^2、k^3)
・(等差)×(等比)→S-rS
・部分分数分解
などです。
上2つは良いと思います。当てはめ方を練習すれば必ずクリアできるからです。
しかし、問題は
・部分分数分解
のΣ計算です。これは非常に応用性があるので、問題作成者からすると部分分数分解の問題で難しい問題を作りやすいのです。
あとで詳しく説明しますが、
「エグい形ほど部分分数分解を疑え」
というルールを覚えておけば、「これ、ひょっとして部分分数分解じゃね?」という思考をできるわけです。
今回は部分分数分解をマスターしていきましょう。
部分分数分解の解き方
問題を解きながら解説していきます。
一番良く見る問題がこれでしょう。
さっそくですが、部分分数分解型のΣ計算は以下のように解けます。

これです。(a_k-a_{k+1})のような差の形に持っていけば解けます。
※(a_{k+1}-a_{k})でもOKです。やってみてください。要は差の形だと途中の項がうまく消えてくれるわけです。
この(a_k-a_{k+1})のような形に持っていって、途中の項がうまく消えてくれてΣを求められる問題を、広い意味で部分分数分解型の問題と呼ばせてください。
さて、さきほどの問題をやっていくと、
\displaystyle\frac{1}{k(k+1)}
\displaystyle=\frac{1}{k}-\frac{1}{k+1}
と部分分数分解できます。
\displaystyle a_k=\frac{1}{k}
とおくと、
\displaystyle a_{k+1}=\frac{1}{k+1}
とうまくハマってくれてますよね。
つまり
\displaystyle\sum_{k=1}^n (a_k-a_{k+1})
の形に持っていけたというわけです。
よって、

上記の解き方をもう一度思い出して、今回の問題に当てはめてみると、
\displaystyle\sum_{k=1}^n \frac{1}{k(k+1)}
\displaystyle=\sum_{k=1}^n \left( \frac{1}{k}-\frac{1}{k+1} \right)
\displaystyle=\sum_{k=1}^n (a_k-a_{k+1})
=a_1-a_{n+1}
\displaystyle =1-\frac{1}{n+1}
と求められます。
差の形に持っていくという意識を持つと簡単ですよね?
もう1題、例題をやっていきましょう。
次の計算を部分分数分解の解き方で解け。
\displaystyle\sum_{k=1}^n \frac{1}{2}k(k+1)
\displaystyle \frac{1}{2}k(k+1)
という形、見たことありますよね?
そう、\displaystyle \sum_{k=1}^n k の公式です。
この公式の結果\displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)をさらにもう1回Σ計算をしてみる、というのがこの問題の意味です。
そしてこの計算は結構出ます。もちろん、展開してk^2とkのΣ公式を使えば求められますが、部分分数分解を使えば一瞬で求められます。
やっていきましょう。
\displaystyle \frac{1}{2}k(k+1)
こちらを
(a_k-a_{k+1})とか、(a_{k+1}-a_{k})のような形に持っていきたいです。
すると見えてくるのが、
(k+2)(k+1)k-(k+1)k(k-1)
という形です。
(a_{k+1}-a_{k})の形ですよね。
これを共通因数k(k+1)でくくると、
k(k+1)\{k+2-(k-1)\}
=3k(k+1)
となって、\displaystyle \frac{1}{2}k(k+1)と同じ形をしています。あとは係数を調整するだけです。やってみると、
\displaystyle \frac{1}{2}k(k+1)
=\displaystyle\frac{1}{6}\{(k+2)(k+1)k-(k+1)k(k-1)\}
となります。
あとは、

これに当てはめてみて計算するだけで、
\displaystyle\sum_{k=1}^n \frac{1}{2}k(k+1)
\small=\displaystyle\sum_{k=1}^n\frac{1}{6}\{(k+2)(k+1)k-(k+1)k(k-1)\}
=\displaystyle\sum_{k=1}^n\frac{1}{6}(a_{k+1}-a_k)
=\displaystyle\frac{1}{6}(a_{n+1}-a_1)
=\displaystyle\frac{1}{6}n(n+1)(n+2)
と求められます。
↑このΣ計算はよく出るので裏技としておさえておきましょう。
入試問題演習
実際に入試問題では、「一見、部分分数分解を使えるような形をしていない」Σ計算が出ます。で、実際は部分分数分解を使えるというオチだった、というケースが本当に多いです。
そこで覚えていってほしいルールが、
「エグい形ほど部分分数分解を疑え」
です。たいていエグい形をしています笑
そんなとき、必ず使うのが関係式です。
関係式を用いて
a_k-a_{k+1}のような差の形に無理やり持っていくのです。この意識を持ってください。
では入試問題をやってみましょう。
nを0または正の整数とするとき、次の等式が成り立つことを示せ。
\tiny\sum_{k=0}^n \left(-\frac{1}{3}\right)^k \cos^3{(3^{k}x)}=\frac{1}{4}\left\{3\cos{x}+\left(-\frac{1}{3}\right)^n \cos{(3^{n+1}x)}\right\}
(学習院大)
見るからにエグい形をしています。そこで疑うのが部分分数分解です。
a_k-a_{k+1}のような差の形に持って行くには、関係式が必要だといいました。
そこでよく式を見てみると、
\cos^3{(3^{k}x)}
となっているので、
\cos^{3}x
の形をしています。よって、
\displaystyle\cos^{3}x=\frac{1}{4}(3\cos{x}+\cos{3x})
この3倍角の関係式を使うのではないかと疑うのです。
そして、a_k-a_{k+1}のような差の形に持って行く、と方針が立ちます。
やってみましょう。
\displaystyle\sum_{k=0}^n \left(-\frac{1}{3}\right)^k \cos^3{(3^{k}x)}
これに
\displaystyle\cos^{3}x=\frac{1}{4}(3\cos{x}+\cos{3x})
を使ってみると・・・
\scriptsize\displaystyle =\sum_{k=0}^n \left(-\frac{1}{3}\right)^k \cdot \frac{1}{4}\{3\cos{(3^{k}x)}+cos{(3^{k+1}x)}\}
この係数などをa_k-a_{k+1}のような差の形に持って行くために整理してみると、
\scriptsize\displaystyle =\frac{3}{4}\sum_{k=0}^n \left\{ \left(-\frac{1}{3}\right)^k \cos{(3^{k}x)} – \left(-\frac{1}{3}\right)^{k+1} \cos{(3^{k+1}x)} \right\}
できました!
\displaystyle\left(-\frac{1}{3}\right)^k \cos{(3^{k}x)}=a_kとおけば、
\displaystyle\left(-\frac{1}{3}\right)^{k+1} \cos{(3^{k+1}x)}=a_{k+1}とうまくハマるので、
=\displaystyle\frac{3}{4}\sum_{k=0}^n (a_k-a_{k+1})
となり、a_k-a_{k+1}の形に持っていけました!
あとは計算するだけです。
=\displaystyle\frac{3}{4}\sum_{k=0}^n (a_k-a_{k+1})
=\displaystyle\frac{3}{4} (a_0-a_{n+1})
\scriptsize=\displaystyle\frac{3}{4} \left( \left(-\frac{1}{3}\right)^0 \cos{(3^{0}x)} – \left(-\frac{1}{3}\right)^{n+1} \cos{(3^{n+1}x)} \right)
=\displaystyle\frac{3}{4} \left( \cos{x} – \left(-\frac{1}{3}\right)^{n+1} \cos{(3^{n+1}x)} \right)
=\displaystyle\frac{1}{4} \left( 3\cos{x} + \left(-\frac{1}{3}\right)^{n} \cos{(3^{n+1}x)} \right)
となって、題意は示せました。
次の計算をせよ。
\displaystyle\sum_{k=1}^n \frac{1}{k(k+1)}