こんにちは、しゅがーです。
図形と方程式をこれから解説していこうと思うのですが、この分野になんとなくの苦手意識を持ってる方は多いかと思います。
決定的に苦手!ってわけじゃないんだけど、得意ではないっていう感触の方は多いのではないでしょうか?
というのもこの図形と方程式という分野、問題の種類や求めさせるものが非常に多いです。そのため、勉強してもしばらく経ったら記憶がぐちゃぐちゃしてるイメージに陥ります。
その結果、テストや模試で問題に出会ったときに「似たような問題やったなぁ… でもあれ、今回どれだっけ?」みたいな状態に陥る人が非常に多いのです。
そのため、図形と方程式を習得するにあたって大事になってくるのが知識を整理出来ているかという観点です。
どうすれば知識を整理出来るかというと、問題単位で知識を蓄えるイメージではなく、問題という具体から抽象の部分を抜き出すことで知識を整理することができます。
結論から言うと、よく試験で出る図形と方程式の知識を整理すると以下の11個の知識に集約できます。
上記の項目について、
赤色で示した(2)~(6),(9)の解説を今回の記事でします。
紫色の(10)は以下の記事で解説します。
青色の(1)(7)(8)(11)は以下の記事で解説します。
これらの11項目について、「ああ、この項目はこう解けばいいかなー」と頭の中ですらすら浮かぶようになれば、習得できたといえるでしょう。
あらかじめ僕がこの抽象部分の知識を抜き出しておいたのです。そのためあなたは無駄なく最短で図形と方程式の知識を習得することができます。
最後には具体的な問題も解説するので、抽象→具体の流れもできますので、安心してください。
それでは、早速やっていきましょう。
目次
まずは抽象部分を解説
この章では抽象的な解説多めで解説していきます。この抽象の部分をしっかりと掴み取っておくことが数学の勉強といっても過言ではないです。
図形と方程式という分野の抽象部分を掴み取るのです。
しかしその前に、図形と方程式において常に持っておくべき視点があります。
定性と定量という視点
最初に見せた画像をまた示します。
ここで、緑の部分で
「定性と定量の視点を常に持ちながら」
とありますよね。
これ、非常に重要です。特に図形が絡む分野が図形と方程式なわけなので、思考の仕方がガラっと変わることがあるのです。
というわけで、「視点」をあなたに授けます。
それは、数学には
・定量的な思考
・定性的な思考
の2つに分類できるという視点です。
定量と定性はよく物理で用いられる用語ですが、ここでは数学においても適用できるとします。
ここでは、
定量的な思考とは、「数式を用いた思考」で、
定性的な思考とは、「数式を用いない思考」と定義します。
※物理での厳密な定義とは異なるかもしれません。
それで、図形と方程式においてはその名の通り「図形」と「方程式」なわけなので、定量的な思考は数式をいじくって考える思考、定性的な思考は「図形的考察」に分岐することがあるということなのです。
例えば、こんな問題。
この問題、「最大・最小」というキーワードがあります。
「最大・最小」ときたら解き方は7パターンあります。
・二次関数
・微分
・相加相乗平均
・線形計画法
・三角関数
・数列比
・図形的考察
この中に、「図形的考察」というパターンがありますよね。
今回の例題ではまさにこの図形的考察を使います。
では、この問題を初見でみたとして、どう思考するのかを解説していきます。
\(xy\)座標平面上に、点\(A(0,2),B(3,2)\)がある。ここで、点\(P\)が\(x\)軸上を動くとき、\(AP+PB\)の最小値を求めよ。
まずは問題をみて、最大最小問題だなと認識します。さきほどお見せした最大最小の7つの手法の中にも、定性と定量に分類できると思い出します。
・二次関数→定量
・微分→定量
・相加相乗平均→定量
・線形計画法→定量・定性の中間くらい
・三角関数→定量
・数列比→定量
・図形的考察→定性
更に、図形的な問題だとも認識します。そのため、最大最小の手法の中でも、今回は定性的な思考を使う手法、すなわち図形的考察なのではないかとあらかじめ予想しておきます。
しかし、とりあえずは定量からいってみようと思考します。いずれにしても、文字を置くことから始まりますよね。
\(x\)軸上の点\(P\)を、\(P(t,0) \)と置いてみます。
このとき、\(AP+PB\)を\(t\)の式で表そうと考えます。
点と点の距離の公式より、
\(AP=\sqrt{t^2+4}\)
\(PB=\sqrt{(3-t)^2+2^2}\)
\(=\sqrt{t^2-6t+13}\)
よって、\(AP+PB\)を\(t\)の式で表すと、
\(AP+PB=\sqrt{t^2+4}+\sqrt{t^2-6t+13}\)
となります。
この式を解析すること自体ヤバそうだなとここで一度踏みとどまるのです。
そこで、一番最初に予想した「定性的」な視点を使う「図形的考察」が今回の問題で使う解き方のパターンだという予想に戻ってくるのです。
ざっくり言ってしまえば、「これ、数式で考えるのキツそうだな」ってときに「図形的考察」を使うことが多いのです。
最初に、定量的な思考とは「数式を用いた思考」で、定性的な思考とは「数式を用いない思考」と定義しました。
逆に言うと、「これ、数式で考えるのキツそうだな」ってときには必然的に「数式を用いない思考」すなわち定性的な思考(図形分野では図形的考察)を使うことが多くなるということなのです。
数式で考えるのキツそうってのは、今回みたいに文字をおいてみて立式したときに、ルートが入ったエグそうな数式や、単純にぐちゃぐちゃしている数式だったり、多変数だったり、みたいなケースです。
さて、それでは今回の問題では、どのように図形的考察をするのかというと点\(B\)について、\(x\)軸に関して対称な点\(C\)を考えてあげます。
対称な点の性質から、
\(PB=PC\)となるので、
\(AP+PB=AP+PC\)
となります。
この\(AP+PC\)が最小となるのはどんなときかというと、\(P\)が直線\(AC\)上にあるときですよね。
つまり、
\(AP+PB=AP+PC≧AC\)
となります。
以上より、\(AP+PB\)が最小となるのは、\(AP+PC=AC\)のとき
なので、最小値は5となります。
以上が、定性と定量の視点を使った思考でした。この視点を常に持っておくのが図形と方程式で後々重要になってくるというのが伝えたかったことです。
それでは、長かった前置きは終わったので具体的なパターンを見ていきましょう。
外心、垂直二等分線、線対称
全体像をまたお見せします。今回は(2)です。
つまり、以下のキーワードが問題文中にあったときです。
「外心」
「垂直二等分線」
「ある点に関して、ある直線に対して対称な点(=線対称)」
これらのキーワードが問題文中にあった瞬間、処理する方法、つまり解き方は以下のように定まります。
以下の2つの条件式を連立する→文字は2つおける
1 2点の傾き×垂直二等分線の傾き = -1→条件式1
2 垂直二等分線上に2点の中点がある⇔垂直二等分線の直線の式に2点の中点を代入→条件式2
図に起こすと、以下のようになります。
上記の”解き方”を図とともに、まずは頭に入れてみてください。
この”解き方”を適用さえできれば、問題は必ず解けます。
上記の知識を使った具体的な応用問題は問題1と問題2です。(リンクを押すと飛べます)
内心、角の二等分線
次です。全体像をまたお見せします。今回は(3)です。
「内心」
「角の二等分線」
これらのキーワードが問題文中にあったら使う手法は決まっています。
何かというと、それは点と直線の公式です。
というのも、角の二等分線とは言い換えると
「二直線からの距離が等しい点の軌跡(=直線)」
です。下の図をイメージするとわかりやすいです。
なので、点と直線の公式で処理をすることができるわけです。
詳しくは問題3と問題4で使い方含め解説しています。(リンクを押すと飛べます)
円によって切り取られてできる線分の長さ
次です。全体像をまたお見せします。今回は(4)です。
「円によって切り取られてできる線分の長さ」
このキーワードが問題文中にあったら処理の手順は決まっています。
と、その前にここで大事なことを話します。
「円」ときたら、何に注目しますか?
答えはたった一つです。
「中心」です。
例えば円が出る問題で補助線を引こうってなったときに、中心を通る点で補助線を引くことがめちゃくちゃ多いです。逆に言えば、円が出たら中心さえ注目していればほぼ大丈夫ということです。
それでは具体的に「円によって切り取られてできる線分の長さ」というキーワードがきたらどう処理するのか、その手順を見ていきましょう!
(1)円の中心に注目して、円の中心の点と直線の式より点と直線の距離の公式をもちいて、円の中心と直線の距離\(d\)を求める。
(2)三平方の定理より、円によって切り取られてできる線分の長さ\(l\)を求める
イメージできるように図も載せていくと
(1)でやってることが以下の図です。
そして(2)でやってることが以下の図です。
つまり、円によって切り取られてできる線分の長さ\(l\)は
\(l=2\sqrt{r^2-d^2}\)
と求まります。
上記の知識を使った具体的な応用問題は問題5です。(リンクを押すと飛べます)
2つの円の交点とある点を通る円の方程式
次です。全体像をまたお見せします。今回は(5)です。
「2つの円の交点とある点を通る円の方程式」
ときたら以下の知識を使えば求められます。
2円
\( C_1:x^2+y^2+ax+by+c=0 \)
\( C_2:x^2+y^2+a’x+b’y+c’=0 \)
が異なる2点で交わるとき、これら2点を通る円は
\(\tiny k(x^2+y^2+ax+by+c)+k'(x^2+y^2+a’x+b’y+c’)=0 \)
\(\tiny (k,k’) \neq (0,0) \)
と表される。とくに、円\(C_2\)以外のものは、
\(\tiny x^2+y^2+ax+by+c+l(x^2+y^2+a’x+b’y+c’)=0 \)
と表される。
上記の知識を使った具体的な応用問題は問題6です。(リンクを押すと飛べます)※問題6は次の項目の知識も使います
円周上の点における接線
次です。全体像をまたお見せします。今回は(6)です。
今回は単純で、ほぼ公式みたいに使っちゃって大丈夫です。円周上の接線は以下のように求められます。
円:\((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\)において、円周上の点\( (x_1,y_1) \)における接線ときたら、接線の方程式は
\(\small (x_1-a)(x-a)+(y_1-b)(y-b)=r^2 \)
と表される。とくに、\( (a,b) \)が原点のとき、
\(\small x_1 x+y_1 y =r^2 \)
上記の知識を使った具体的な応用問題は問題6です。(リンクを押すと飛べます)
線形計画法
最後です。全体像をお見せします。今回は(9)です。
冒頭で、最大最小ときたら以下を考えると解説しました。
・二次関数
・微分
・相加相乗平均
・線形計画法
・三角関数
・数列比
・図形的考察
今回はこのうちの線形計画法というわけです。
まず、線形計画法を使うときはどういうときか?
それは、「2変数の条件があり、2変数の最大・最小を求めよ」という問題のときです。
イメージとしては、下に示すような2変数の条件(=領域D)があったときに
・\(x+y\)の最大最小を求めよ。
・\(x^2+y^2\)の最大最小を求めよ。
・\(\displaystyle\frac{y}{x}\)の最大最小を求めよ。
みたいな記述があったときに使うのが線形計画法です。
解き方としては、上から順に
・\(x+y\)の最大最小を求めよ。
→\(x+y=k\)とおく
→\(y=-x+k\)が領域Dと共有点をもつという条件のもと、\(k\)の最大最小を求める(下にイメージを示します)
・\(x^2+y^2\)の最大最小を求めよ。
→\(x^2+y^2=r^2\)とおく
→\(x^2+y^2=r^2\)が領域Dと共有点をもつという条件のもと、\(r^2\)の最大最小を求める(下にイメージを示します)
・\(\displaystyle\frac{y}{x}\)の最大最小を求めよ。
→\(\displaystyle\frac{y}{x}=m\)とおく
→\(y=mx\)が領域Dと共有点をもつという条件のもと、\(m\)の最大最小を求める(下にイメージを示します)
以上が線形計画法の主要パターンです。
上記の知識を使った具体的な応用問題は問題7です。(リンクを押すと飛べます)
具体部分(=問題)を解説
問題1
3点\(A(-2,6),B(1,-3),C(c_x,c_y)\)がある.また,直線\(y=-2x+4\)に関してBと対称な点がCである.
(1)\((c_x,c_y)\)の値を求めよ.
(2)線分ABの垂直二等分線の直線の式を求めよ.
(3)\(\triangle ABC\)の外接円の方程式を求めよ.
解答は以下にまとめました。
問題2
\(xy\)平面上に2点\(A(3,2),B(8,9)\)がある.点\(P\)が直線\(l:y=x-3\)上を動くとき,\(AP+PB\)の最小値と,そのときの点\(P\)の座標を求めよ.
解答は以下にまとめました。
問題3
2直線\(\scriptsize l_1:x-y+2=0,l_2:x+y-14=0\)のなす角の二等分線の式を求めよ.
解答は以下にまとめました。
問題4
3直線
\(l_1:x-y+2=0,\)
\(l_2:x+y-14=0,\)
\(l_3:7x-y-10=0\)
で囲まれる三角形に内接する円の方程式を求めよ.
(東京都立大)
解答は以下にまとめました。
問題5
円\(C:x^2+y^2-4x-2y+3=0\)と直線\(l:y=-x+k\)が異なる2点で交わるような\(k\)の値の範囲を求めよ.また,\(l\)が\(C\)によって切り取られてできる線分の長さが2となるとき,\(k\)の値を求めよ.
(名城大)
解答は以下にまとめました。
問題6
座標平面上において,円\(C_1:x^2+y^2=4\)上の点\(P(1,\sqrt{3})\)における接線を\(l\)とし,\(l\)と\(x\)軸との交点を\(Q\)とする.
(1)点\(Q\)の座標を求めよ.
(2)点\((2,0)\)を中心とし,直線\(l\)に接する円\(C_2\)の方程式を求めよ.
(3)円\(C_1\)と(2)で求めた円\(C_2\)の2つの交点と点\(Q\)を通る円の方程式を求めよ.
(宮崎大)
解答は以下にまとめました。
問題7
不等式\( (x-6)^2+(y-4)^2 ≦ 4 \)の表す領域を点\(P(x,y)\)が動くものとする.
(1)\(x^2+y^2\)の最大値を求めよ.
(2)\(\displaystyle\frac{y}{x}\)の最小値を求めよ.
(3)\(x+y\)の最大値を求めよ.
(早稲田人間科学)
解答は以下にまとめました。
\(xy\)座標平面上に、点\(A(0,2),B(3,2)\)がある。ここで、点\(P\)が\(x\)軸上を動くとき、\(AP+PB\)の最小値を求めよ。