どうもこんにちは、しゅがーです。
以前、
こちらの記事で、以下のような二次関数の全体像の話をしたと思います。
ここで、不等式問題と方程式問題において、
裏技:定数分離
があるとお話しました。以前の記事では詳しく説明しなかったので、今回の記事で詳しく説明しようと思います。
今回紹介する知識は、結構裏技で、数IIIの知識を使ったりします。
※どの参考書にもこの解き方を見たことがないです。私の知る限りでは。
定数分離とは?
そもそも論、定数分離とはなにか?
それは、その名の通り「定数」を「分離」するって意味です。
まずは例題を用いて定数分離とは?を簡単に解説します。
こちらの問題、正攻法で解こうとしたらかなり大変です。そこで、定数分離の出番です。
どうするかというと、
\(|x^2-x-2|=2x+k\)
を
\(|x^2-x-2|-2x=k\)
と変形してあげます。
さらに、
\(y=|x^2-x-2|-2x\)
\(y=k\)
と分けてあげて、これらのグラフの交点が、
\(|x^2-x-2|-2x=k\)
の解と同じであると考えます。つまり、言い換えです。
この言い換えが定数分離の本質といえます。
方程式を定数で分離して、方程式の解をグラフの交点とみてあげるんです。
あとは、
\(y=|x^2-x-2|-2x\)
のグラフさえ描ければいいわけです。
この問題の解答は以下になります。
2次方程式の解の配置問題でも応用が効く!!
さて、ここからが裏技チックな知識です。
さきほどの問題は定数\(a\)がそもそも簡単に分離できましたよね。
しかし、以下の問題ではどうでしょうか?(以前の記事で紹介した問題です)
(1)\(a\)は実数の定数とする.2次関数\(f(x)=2x^2-4ax+a+1\)が\(x≧0\)においてつねに\(f(x)>0\)を満たすような,\(a\)の値の範囲を求めよ.
(2)\(0≦x≦2\)を満たすすべての実数\(x\)に対して,\(x^2-2ax+a-3≦0\)が成り立つような定数\(a\)の値の範囲を求めよ.
(秋田大,千葉工業大)
定数分離がなかなか一筋縄ではいかないですよね。
しかし!!!!
できるんです、定数分離が。
(1)をみてみましょう。
「2次関数\(f(x)=2x^2-4ax+a+1\)が\(x≧0\)においてつねに\(f(x)>0\)」
つまり、\(x≧0\)において
\(2x^2-4ax+a+1>0\)
となる不等式ですよね。
ここで、\(a\)についてまとめてあげて、
\(x^2+1>(4x-1)a\)
となります。
あとは、\(x<\frac{1}{4}\)と\(x>\frac{1}{4}\)で場合分けしてあげれば良くて、
\(0≦x<\frac{1}{4}\)のとき、
\(\displaystyle\frac{2x^2+1}{4x-1}<a\)
となり、
\(x>\frac{1}{4}\)のとき、
\(\displaystyle\frac{2x^2+1}{4x-1}>a\)
と定数分離ができるのです!!!
つまり、これらの不等式を満たすときの\(a\)の値の範囲を求めてあげればいいのです。
さて、(2)も同様です。
(2)\(0≦x≦2\)を満たすすべての実数\(x\)に対して,\(x^2-2ax+a-3≦0\)が成り立つような定数\(a\)の値の範囲を求めよ.
でした。つまり、\(0≦x≦2\)において、\(x^2-2ax+a-3≦0\)を\(a\)について定数分離してあげればよくて、
まずは\(a\)について整理してあげて、
\(x^2-3≦(2x-1)a\)
となります。
よって\(0≦x<\frac{1}{2}\)のとき、
\(\displaystyle\frac{x^2-3}{2x-1}≧a\)
となり、
\(\frac{1}{2}<x≦2\)のとき、
\(\displaystyle\frac{x^2-3}{2x-1}≦a\)
と定数分離ができます!
さきほどと同様に、これらの不等式を満たすときの\(a\)の値の範囲を求めてあげればいいです。
解答は以下のようになります。
(1)
(2)
次に方程式問題です。以前の記事で紹介した問題です。
2次方程式\(mx^2-x-2=0\)の2つの実数解が,それぞれ以下のようになるための\(m\)の条件を求めよ.
(1)2つの解がともに\(-1\)より大きい.
(2)1つの解は1より大きく,他の解は1より小さい.
(3)2つの解の絶対値がともに1より小さい.
(岐阜大)
これも、同様に定数分離してみましょう。
\(mx^2-x-2=0\)
を、\(m\)について整理して、
\(mx^2=x+2\)
\(x=0\)は解にもたないので、\(x^2\)で両辺を割って
\(\displaystyle m=\frac{x+2}{x^2}\)
と定数分離できます。あとは、
\(y=m\)
と
\(y=\displaystyle\frac{x+2}{x^2}\)
についてのそれぞれの交点が、
(1)2つの解がともに\(-1\)より大きい.
(2)1つの解は1より大きく,他の解は1より小さい.
(3)2つの解の絶対値がともに1より小さい.
これらの条件を満たしていればよく、そのような\(m\)の値の範囲を求めてあげればよいです。
こちらの問題の解答は以下のようになります。
以上が、定数分離についての裏技的な解き方でした。
定数分離は不等式・方程式の問題で大事になってくる考え方です。二次関数だけの話ではないのです。
しっかりと理解しておくことをおすすめします。
\(k\)は定数とする。方程式\(|x^2-x-2|=2x+k\)の異なる実数解の個数を調べよ。