こんにちは、しゅがーです。
極限の本質を理解している高校生はなかなかいません。
極限に対して、なんとなく違和感というか、もやもや感を感じていませんか?
これを見て「なるほどね」ってなる高校生ははっきり言ってセンスある人だけです。無意識のうちに極限の本質を理解しちゃってるんです。しかし、普通の高校生はこれを見てもなんとなく理解できないまま計算練習をさせられます。
ただの「計算」として極限の理解を終わりにしてしまいます。ただ、それだと一定のレベルの問題以上になると、途端に手が止まってしまうでしょう。
ここで僕から質問です。
極限と普通の代入の違いは何ですか?
→\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)とf(a)の違いは何ですか?
この質問にバシッと答えられる人は、この記事を読む必要ないです。
ただ少しでもこの質問に対して、もやもやしてしまう人はこの記事を読むことで「そういうことだったんだ!」となると思います。極限の本質は非常にシンプルで、数学的に凄く意味があるものだと実感できるでしょう。
それでは、さっそく極限の本質を解説していきます。
なぜ極限という概念を作ったのか?
さて、さっそくですが、昔の数学者はなぜ極限という概念を作ったと思いますか?
それは、今まで解決できなかった問題が極限という概念を作ることで、解決できるようになったからです。
つまり、極限は数学的に大きな進歩なんです。
例えていうなら、今まで病気で人間が死んでしまうという問題を、薬という発明でその問題を解決できる、というのに近いです。
発明って様々な動機がありますが、何か障壁があって、それを解決したいってのが動機にあったりします。
つまり、極限を発明したことによって、今まであった障壁を壊せるようになった、とでもまずは理解してください。
さっそく詳しく解説していきます。
むかしむかし、数学者は悩みました。
f(x)=\frac{x^2-1}{x-1}
「この関数、分母にx-1があるから0で割ることはできないからx=1を絶対に代入できないんだけど、1に近づければ近づけるほど、2にちかづくんだよなぁ・・・」
実際にやってみましょう。
f(x)=\frac{x^2-1}{x-1}
f(0.9)=1.9
f(0.99)=1.99
・・・
f(0.9999999999)=1.9999999999
2にどんどん近づいているのがわかると思います。
でも1は絶対に代入できないというジレンマ・・・
関数f(x)=\frac{x^2-1}{x-1}は、0で割ることができないから、x=1は代入できない、つまり定義できない。x=1は定義域外だからです。
「でも定義域外を計算したい…」
これを解決するために生まれたのが、極限という新しい概念です。
極限の定義をもう一度見てみましょう。
xが限りなくaに近づくとき、
f(x)が一定値\alphaに限りなく近づく場合、
\lim_{x\to a} f(x) = \alpha
と表す。
ここで注目してほしいのが、
「xが限りなくaに近づくとき、」
って部分です。
これは言い換えると、
xはaでない
です。ここが非常に重要です。
この事実があることで、さきほどの関数の例で
\lim_{x\to 1} \frac{x^2-1}{x-1}
を求めようとします。そうするとxを限りなく1に近づけるので、
x\neq 1
となるので、以下の式変形ができます。
\frac{x^2-1}{x-1}
=\frac{(x+1)(x-1)}{x-1}
=x+1
xは1でないので、x-1は0でないから割ることができるんですね。
よって、
\lim_{x\to 1}\frac{x^2-1}{x-1}
=\lim_{x\to 1}\frac{(x+1)(x-1)}{x-1}
= \lim_{x\to 1} (x+1)
=2
と求められるんです。
極限とは、定義域外における疑似代入
最初の質問に戻ります。
極限と普通の代入の違いは何ですか?
→\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)とf(a)の違いは何ですか?
今なら、答えられますか?
\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)とf(a)の違い
それは
x\neq aかx=aか
です。\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)がx\neq a、f(a)がx=a
これが答えです。
つまり、
\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)
とは、
x\neq aのもと、xを限りなくaに近づけるってことで、なんでこんなことしたいかっていうとf(x)はx=aにおいて定義域外だから、ってことです。でも、x\neq aのもと、疑似的にx=aとできる。そうすることでできない計算ができるようになるというわけです。
昔の人は欲張りなんです笑
x\neq aのもと、疑似的にx=aとできる
つまり、定義域外における疑似代入って表現が、極限だと思っています。
つまり、極限計算をするときにいつも気持ちとして持ってほしいのが、
\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)を見たときに、
「このf(x)って、x=aにおいて定義域外なんだな。だから代入はできない。そこで極限を考えれば、x\neq aのもと疑似的にx=aできるってことね」
という気持ちです。
そうすることで「今までできなかった問題が解決できるようになる」ということなんです。
\displaystyle\lim_{x\to a}の、
「xを限りなくaに近づける」
の言葉の裏には、気持ちとして、
「x=aにおいて定義域外だから絶対に計算できないけど、x\neq aとした上で、疑似的にx=aとする(疑似代入)」
というのがあると、僕は思っています。
おわりに
さて、極限に対して見方は変わりましたか?
まとめると、
「定義域外なんだけど、この値を近づければ近づけるほど、一定値になるぞ…」
→「x\neq aとした上で、疑似的にx=aとしよう」
→これが極限
ってことです。
極限の初学段階の練習問題として、こんな感じの問題解いた経験ありませんか?
\lim_{x\to 1} (x^2+3x+1)
こういう問題、マジで数学的になんの意味もないのわかりますか?
だって、x=1において、x^2+3x+1は定義域外じゃないですよね笑
こういう問題を初学段階で解かされるの、本当に意味が分かりません… 極限の本質から逸れまくってますからね。
少しでも極限の理解の一助になれば、喜びます。
最後まで読んでくださりありがとうございました。ではでは。
xが限りなくaに近づくとき、
f(x)が一定値\alphaに限りなく近づく場合、
\lim_{x\to a} f(x) = \alpha
と表す。