極限の本質を意識していますか?

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しゅがー
高校受験の失敗から高校時代は大学受験をガチる。特に好きだった数学を極めようとするも、最初はうまく成績が伸びなかった。そんなとき、超数学が出来る先生に出会い飛躍的に数学の成績が伸び、国立大学に合格。ネットの友達に数学に教える過程で、「教える」楽しさに気づき、本サイトを作る。詳しいプロフィールは こちら

 

こんにちは、しゅがーです。

 

極限の本質を理解している高校生はなかなかいません。

極限に対して、なんとなく違和感というか、もやもや感を感じていませんか?

 

極限の定義

\(x\)が限りなく\(a\)に近づくとき、

\(f(x)\)が一定値\(\alpha\)に限りなく近づく場合、

$$ \lim_{x\to a} f(x) = \alpha $$

と表す。

 

これを見て「なるほどね」ってなる高校生ははっきり言ってセンスある人だけです。無意識のうちに極限の本質を理解しちゃってるんです。しかし、普通の高校生はこれを見てもなんとなく理解できないまま計算練習をさせられます。

 

ただの「計算」として極限の理解を終わりにしてしまいます。ただ、それだと一定のレベルの問題以上になると、途端に手が止まってしまうでしょう。

 

 

ここで僕から質問です。

極限と普通の代入の違いは何ですか?

→\(\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)\)と\(f(a)\)の違いは何ですか?

 

この質問にバシッと答えられる人は、この記事を読む必要ないです。

 

ただ少しでもこの質問に対して、もやもやしてしまう人はこの記事を読むことで「そういうことだったんだ!」となると思います。極限の本質は非常にシンプルで、数学的に凄く意味があるものだと実感できるでしょう。

 

それでは、さっそく極限の本質を解説していきます。

 

なぜ極限という概念を作ったのか?

 

さて、さっそくですが、昔の数学者はなぜ極限という概念を作ったと思いますか?

 

それは、今まで解決できなかった問題が極限という概念を作ることで、解決できるようになったからです。

 

つまり、極限は数学的に大きな進歩なんです。

 

 

例えていうなら、今まで病気で人間が死んでしまうという問題を、薬という発明でその問題を解決できる、というのに近いです。

 

 

発明って様々な動機がありますが、何か障壁があって、それを解決したいってのが動機にあったりします。

 

 

つまり、極限を発明したことによって、今まであった障壁を壊せるようになった、とでもまずは理解してください。

 

さっそく詳しく解説していきます。

 

むかしむかし、数学者は悩みました。

とある関数

$$ f(x)=\frac{x^2-1}{x-1} $$

「この関数、分母に\(x-1\)があるから0で割ることはできないから\(x=1\)を絶対に代入できないんだけど、1に近づければ近づけるほど、2にちかづくんだよなぁ・・・」

 

実際にやってみましょう。

 

$$ f(x)=\frac{x^2-1}{x-1} $$

\(f(0.9)=1.9\)

\(f(0.99)=1.99\)

・・・

\(f(0.9999999999)=1.9999999999\)

 

2にどんどん近づいているのがわかると思います。

 

でも1は絶対に代入できないというジレンマ・・・

関数\(f(x)=\frac{x^2-1}{x-1}\)は、0で割ることができないから、\(x=1\)は代入できない、つまり定義できない。\(x=1\)は定義域外だからです。

「でも定義域外を計算したい…‼」

 

これを解決するために生まれたのが、極限という新しい概念です。

極限の定義をもう一度見てみましょう。

 

極限の定義

\(x\)が限りなく\(a\)に近づくとき、

\(f(x)\)が一定値\(\alpha\)に限りなく近づく場合、

$$ \lim_{x\to a} f(x) = \alpha $$

と表す。

 

ここで注目してほしいのが、

「\(x\)が限りなく\(a\)に近づくとき、」

って部分です。

 

これは言い換えると、

 

\(x\)は\(a\)でない

 

です。ここが非常に重要です。

 

この事実があることで、さきほどの関数の例で

$$ \lim_{x\to 1} \frac{x^2-1}{x-1} $$

を求めようとします。そうすると\(x\)を限りなく\(1\)に近づけるので、

\(x\neq 1\)

となるので、以下の式変形ができます。

 

$$ \frac{x^2-1}{x-1} $$

$$ =\frac{(x+1)(x-1)}{x-1} $$

$$ =x+1 $$

\(x\)は\(1\)でないので、\(x-1\)は\(0\)でないから割ることができるんですね。

よって、

$$ \lim_{x\to 1}\frac{x^2-1}{x-1} $$

$$ =\lim_{x\to 1}\frac{(x+1)(x-1)}{x-1} $$

$$ = \lim_{x\to 1} (x+1) $$

$$ =2 $$

と求められるんです。

 

極限とは、定義域外における疑似代入

 

最初の質問に戻ります。

極限と普通の代入の違いは何ですか?

→\(\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)\)と\(f(a)\)の違いは何ですか?

 

今なら、答えられますか?

 

 

 

\(\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)\)と\(f(a)\)の違い

それは

\(x\neq a\)か\(x=a\)か

です。\(\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)\)が\(x\neq a\)、\(f(a)\)が\(x=a\)

これが答えです。

 

 

つまり、

\(\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)\)

とは、

\(x\neq a\)のもと、\(x\)を限りなく\(a\)に近づけるってことで、なんでこんなことしたいかっていうと\(f(x)\)は\(x=a\)において定義域外だから、ってことです。でも、\(x\neq a\)のもと、疑似的に\(x=a\)とできる。そうすることでできない計算ができるようになるというわけです。

 

昔の人は欲張りなんです笑

\(x\neq a\)のもと、疑似的に\(x=a\)とできる

 

つまり、定義域外における疑似代入って表現が、極限だと思っています。

 

つまり、極限計算をするときにいつも気持ちとして持ってほしいのが、

\(\displaystyle\lim_{x\to a} f(x)\)を見たときに、

「この\(f(x)\)って、\(x=a\)において定義域外なんだな。だから代入はできない。そこで極限を考えれば、\(x\neq a\)のもと疑似的に\(x=a\)できるってことね」

という気持ちです。

 

そうすることで「今までできなかった問題が解決できるようになる」ということなんです。

 

\(\displaystyle\lim_{x\to a}\)の、

「\(x\)を限りなく\(a\)に近づける」

の言葉の裏には、気持ちとして、

「\(x=a\)において定義域外だから絶対に計算できないけど、\(x\neq a\)とした上で、疑似的に\(x=a\)とする(疑似代入)」

というのがあると、僕は思っています。

 

おわりに

 

さて、極限に対して見方は変わりましたか?

 

まとめると、

「定義域外なんだけど、この値を近づければ近づけるほど、一定値になるぞ…‼」

→「\(x\neq a\)とした上で、疑似的に\(x=a\)としよう」

→これが極限

 

ってことです。

 

極限の初学段階の練習問題として、こんな感じの問題解いた経験ありませんか?

$$ \lim_{x\to 1} (x^2+3x+1) $$

こういう問題、マジで数学的になんの意味もないのわかりますか?

 

だって、\(x=1\)において、\(x^2+3x+1\)は定義域外じゃないですよね笑

 

こういう問題を初学段階で解かされるの、本当に意味が分かりません… 極限の本質から逸れまくってますからね。

 

少しでも極限の理解の一助になれば、喜びます。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。ではでは。

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