こんにちは、しゅがーです。
今回は、三角関数の積分の裏技について紹介していきます。
この裏技は知っているだけで一瞬で計算が出来てしまうレベルの超便利なテクニックです。
例えば、こんな問題。
これを見たら、
\( \displaystyle \small\int_0^\frac{\pi}{2} \sin^{4}{t} dt \)
\( \displaystyle\small =\int_0^\frac{\pi}{2}\left({\frac{1-\cos{2t}}{2}}\right)^2 dt \)
\( \displaystyle\small =\frac{1}{4} \int_0^\frac{\pi}{2} (1-2\cos{2t}+\cos^{2}{2t}) dt \)
\( \displaystyle\small =\frac{1}{4} \int_0^\frac{\pi}{2} \left(1-2\cos{2t}+\frac{1+\cos{4t}}{2}\right) dt \)
\( \displaystyle\small =\frac{1}{4}\cdot\frac{3}{2} \int_0^\frac{\pi}{2} 1 \cdot dt \)
\( \displaystyle\small =\frac{3\pi}{16} \)
このように出来てしまいます。56秒で出来ました。
このように
・積分区間から0から〇\(\pi\)
・積分の中の関数が\(\cos{nx}\)に変形できる
のとき、
「\(\cos\)の半周期」
という知識を使って裏技を使います。
僕は先生からこの裏技を知ったとき、「こんな見方があったなんて…」と感動しました。この記事を読み終わる頃には、あなたもこの感動を味わえるだろうと思います。
それでは、詳しく説明していきます。
cosの半周期
まず覚えてほしいことがあります。
それは、
\(\cos{nx}\)の半周期は\(\displaystyle\frac{\pi}{n}\)である
という知識です。
例えば、
\(\cos{x}\)だったら半周期は\(\pi\)で、
\(\cos{2x}\)だったら半周期は\(\displaystyle\frac{\pi}{2}\)ですし、
\(\cos{4x}\)だったら半周期は\(\displaystyle\frac{\pi}{4}\)
ということです。
ここで大切なのが、この知識を適用したら、図を思い浮かべるということです。
\(\cos{x}\)だったら半周期は、
となりますし、
\(\cos{2x}\)だったら、
で、
\(\cos{4x}\)だったら
このようになります。
cosの半周期を積分に当てはめる
\(\cos{x}\)だったら半周期は、
ですよね。ここでこの図を見てもらったらわかるのですが、
\(\displaystyle \int_{0}^{\pi} \cos{x} dx = 0\)
となるのが図でわかりますか。
このように、上半分の赤色と青色が対称なのでこれらの面積を足したら0になるからです。
あとは
\(\displaystyle \int_{0}^{\pi} \cos{x} dx \)
の積分区間の上端が\(2\pi\)になった、
\(\displaystyle \int_{0}^{2\pi} \cos{x} dx \)
になろうと、
繰り返すだけですから
\(\displaystyle \int_{0}^{2\pi} \cos{x} dx=0 \)
となります。
これがcosの半周期を使った三角関数の裏技です。
最初の例題を見てみよう
最初の例題を見てみましょう。
\( \displaystyle\int_0^\frac{\pi}{2} \sin^{4}{t} dt \)
この計算は、
\( \displaystyle \small\int_0^\frac{\pi}{2} \sin^{4}{t} dt \)
\( \displaystyle\small =\int_0^\frac{\pi}{2}\left({\frac{1-\cos{2t}}{2}}\right)^2 dt \)
\( \displaystyle\small =\frac{1}{4} \int_0^\frac{\pi}{2} (1-2\cos{2t}+\cos^{2}{2t}) dt \)
\( \displaystyle\small =\frac{1}{4} \int_0^\frac{\pi}{2} \left(1-2\cos{2t}+\frac{1+\cos{4t}}{2}\right) dt \)
\( \displaystyle\small =\frac{1}{4}\cdot\frac{3}{2} \int_0^\frac{\pi}{2} 1 \cdot dt \)
\( \displaystyle\small =\frac{3\pi}{16} \)
とできたのでした、
今ならこの計算のトリックがお分かりいただけたのではないでしょうか?
4行目で今回の「cosの半周期」の知識を使っています。
このようになるのです。
一つ一つ見ると、
\( \displaystyle\int_{0}^\frac{\pi}{2} \cos{2t}dt \)
は、\(\cos{2t}\)の半周期が\(\displaystyle\frac{\pi}{2}\)ですから、この定積分の値は0になります。
\( \displaystyle\int_{0}^\frac{\pi}{2} \cos{4t}dt \)
は、\(\cos{4t}\)の半周期が\(\displaystyle\frac{\pi}{4}\)ですから、この定積分の値も0になります。
以上がこの積分テクニックを使った計算方法でした。
練習してみよう
計算していきます。
ここで、三角関数の積和公式とsinの半角公式を使って、
あとはcosの半周期を考えてあげればよく、
このように全て0になるので、
\(\displaystyle\scriptsize =\int_0^{\pi} (2+1) d\theta \)
\(\displaystyle\scriptsize =3\pi \)
となります。
以上です!
数2の三角関数のときの基礎中の基礎の問題としてやった「cosの周期を答えよ」みたいな問題、ありましたよね?
実は積分という分野で今回説明したみたいに関わってくるのがとても面白くて感動したのではないですか?
cosの半周期を使うと三角関数の積分が格段に速くなりますので是非覚えておきましょう。ではでは。
\( \displaystyle\int_0^\frac{\pi}{2} \sin^{4}{t} dt \)